私たちが設計をした建物では、極力クライアントにも工事に加わってもらうようにしています。 床のワックスがけから始まり、壁面の珪藻土塗りや、ペンキ塗り、煉瓦積み・・・もちろん出来る範囲で、でも、いつもよりもちょっと頑張るくらいに。ただ予算が足りないからというわけではなく、手を動かすことは、暮らしについて真剣に考えるきっかけであると思うからです。
私たちは、住まいは消費するものではないと考えています。長い時間を過ごす場所ですから、ただ買って使う「モノ」と捉えるのではなく、自分らしく使いこなすようになって欲しいと思うのです。
その始まりである建設の過程に、自分たちの手を動かし積極的に参加する事は、そこに生まれるだろう豊かな暮らしと繋がっているのではと考えています。
実際手を動かすと、出来ないと思っていたことも出来ることがわかり、自分で出来ることが増えていきます。以前あれは出来るようになったのだから、これも出来るかもしれないと。
理想は自分の手で作り出すこと。それが本来の「生きていく」ことではないでしょうか。そのような「生き方」をお話しながら一緒に場所づくりをしていければと思っています。
工事に参加する